ともに生きる
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◆◆動物たちが子どもたちの
心の扉を開く◆◆

- グリーン・チムニーズの試み -

動物たちは「慈しむ心」を教えてくれる




カモのヒナをそっと手に持つカール



ガチョウを抱くグリーン・チムニーズの子どもたち

アルパカを散歩させるのも、子どもたちの仕事




ケイラは、悲しいことがあると動物たちに慰めてもらう



 ニューヨーク州にある治療施設グリーン・チムニーズは、1947年に創設されて以来、半世紀以上にわたって、自然や動物たちとのかかわりを心に傷を負った子どもたちの癒しに取り入れてきた。64万平方メートルの土地には、森があり、畑があり、農場がある。子どもたちはここでともに暮らしながら、動物たちの世話をし、心の回復をはかっていく。
 日本では、10代の少年少女たちによるショッキングな犯罪が起こるたびに、「心の闇」という言葉が持ち出される。
 心の闇とは何なのか。いったいそれはどこから、どのようにして生まれるのか。なぜ、子どもたちは人を傷つけたのか。
 考えられることのひとつは、命というものの実感、そして、それを尊重する心が欠けていたということではないだろうか。また、内からわきあがる怒りや恨みを、暴力以外の手段で表現することができなかった、ということでもある。
 もし、この子どもたちが、命あるものを慈しむことを知っていたなら、自分のなかの重くて暗い感情を、人を傷つけずに表わすことができていたなら、どうだっただろうか。
 グリーン・チムニーズに来る子どもたちの多くは、虐待やネグレクト、いじめなどにあって深く傷ついている。愛され、慈しまれた経験に乏しいために、人と絆を結ぶことがむずかしい。怒りや不満などのネガティブな感情を、暴力的な行動でしか表せない子も多い。このまま行くと、いつか自分を傷つけるか、誰かを傷つけてしまうかもしれない子どもたちだ。虐待を受けて育った子どもたちが親になったとき、自分の子どもに対してまた虐待のサイクルを繰り返してしまう傾向があることも、よく知られている。
 グリーン・チムニーズの試みは、そんな子どもたちに、動物たちのケアをとおして、愛すること、愛を受け取ることを教えようとするものだ。
 忙しい母親から顧みられず、放任状態で育った少女ケイラ(14歳)は、「悲しいことがあると、農場に来て動物たちに慰めてもらうの」と言う。彼女のいちばんのお気に入りは、ヤギたちだ。近づくと逃げてしまう動物とちがって、ヤギは服を引っぱったり、靴ひもをくわえたり、うるさいくらいに寄ってくる。だが、ケイラにはそれが嬉しくてしかたないのだ。
 「ヤギたちに囲まれていると、自分は受け入れられている、愛されている、って思えた」
 あるとき、母親に暴力をふるって問題になった少年が、子育て中のカモの柵で、ヒナを抱きあげようとしたときのこと。母ガモが驚いて走りまわるのを見たとたん、さわりたくてたまらなかったヒナを手放してしまった。
 「母親が心配してるからかわいそうだ・・・」
 動物たちは、子どもたちのいちばん優しい部分を引き出してくれる。表向きはどんな問題行動のレッテルを貼られた子であっても。慈しむ心 - それは、誰もが内に持っている宝物なのだ。
Green Chimneys
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