ともに生きる
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◆◆犬が相手なら、心を開ける◆◆

- 介助犬育成に取り組む少年更生施設 1 -





自分の担当する犬に、電気スイッチの
ON/OFFを教えるラリー


生まれたての子犬を抱え上げるメーガン

介助犬育成団体を訪ねた障害者の男性を囲む少年少女たち。彼の介助犬は、ここで育てられた。


薬局でご主人に薬の袋を渡す介助犬


 自分の感情を抑制できない子どもたちが増え、少年犯罪がますます深刻化しているのはアメリカでも同じ。
 カリフォルニアには少年たちの立ち直りを助ける手がかりとして、介助犬の訓練を教えている更生施設がある。介助犬育成団体Assistance Dog Instituteと連携するシエラ・ユース・センター。窃盗や麻薬不法所持などの罪を犯した12歳から18歳までの少年少女たちが、少年刑務所での刑期を終えた後ここで共同生活し、社会復帰への準備をする。
 体の不自由な人を手助けする介助犬の仕事は、落としたものを拾う、電気をつけたり消したりするなどさまざまだが、訓練する側には相当の忍耐が要る。キレやすい少年たちに、はたしてそれができるのだろうか?
  驚いたことに、ふだんはすぐにカッとなる少年少女たちでも、犬が相手だと、心を通じあわせるためにいっしょうけんめい努力する。それに、あるときは誉め、あるときは無視するような一貫性のない行動を取れば、犬は何も覚えないので、自分の行動に責任を持つことも学んでいく。障害を持つ人の役に立つ仕事をすることも、大きな誇りとなるようだ。
 メーガン(16歳)は、この介助犬訓練プログラムから多くを得た一人。彼女は母親の再婚相手に虐待され、家出を繰り返していた。 母親から顧みられていないと感じ、人を愛しても愛情は返ってこないと考えていた彼女は、犬の全面的な信頼と愛情にふれて、少しずつ人に対しても心を開けるようになっていった。
 また、家宅侵入と窃盗の罪でシエラに来たラリー(18歳)は、大の学校嫌いだったけれど、担当した犬ピアースの訓練には大変な粘り強さを発揮した。犬の障害物競争で、高い台の昇り降りができなかったピアースに付き添い、できるまで毎日励まし続けたのである。
 喧嘩ばかりしていた少年たちや、一見投げやりそうな非行少女が、けんめいに自分の犬の訓練を繰り返す姿に、人と動物の絆がもたらす大きな可能性を感じる。たとえ相手がどんな人間でも、犬はそのままに受け入れて愛することができる動物。犬たちは「いまのあなたじゃ不足」とは言わない。いま目のまえにいる人間への純粋な愛しかない。そんな愛し方は、人間にはなかなかできないものだ。
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